リーダー対談

経営者対談

ーこれからのピースオブマインド・はまゆうを考えるー

理事・総合施設長 平川 龍

理事長 土井 健一

◎新たに就任して


土 井  私たち二人が、この度理事長と総合施設長に就任して新しい体制となりました。

 今日は、お互いの考える理事長像や総合施設長像、どのうな法人の将来像を描いていくか…といった話が出来ればと思います。

平 川  はい、お願いします。

土 井 まず、私の立場から言うと、前身の家族会が立ち上げた共同作業所時代から含めて、現場の支援者から理事長になったのは私が初めての事です。   

 今までは、家族の立場で利用者の方の気持ちに寄り添うということには大きな強みがあったと思うんですが、現場からのたたき上げで法人経営を任された立場としては、これまで以上により「経営」ということに力点を置く必要があると考えています。

 下関市は少子高齢化が全国の中核市の中でもかなり早いペースで進行中で、我々の営む事業については新しい事業所もできるなど、危機感を感じる昨今です。法人サービスを利用する方も高齢化する方も多く、今後は新たなサービスも検討していく必要があると考えています。

 そのような事を実行していくことで、利用者の方や家族の方そして法人で働く職員にとって、我々の法人が正に「安心できる場所」であると強く感じてもらい、安心して下関という地域での生活を続けてもらうというのが、リーダーとして果たすべき責任だと思っています。

 僕と平川さんは7歳離れていて、僕にはない若い感覚があると思っているんですが、平川さんが今考えている総合施設長像としてはどんなものがありますか?

平 川  僕が入職してずっと大切にしてきたのは「チーム」ということなんですね。初めの頃は、配属された事業所でもその意識が希薄だったのが、徐々に浸透していきました。その後に配属された事業所でも同様でした。

 ただ、法人全体…としては、まだ十分ではないように感じています。ですので、全ての事業所にその意識を浸透させるのが一番初めに手掛ける仕事だと考えています。

 また、利用者の方も職員も楽しく働いて暮らしていくためには、「心も経済面も豊かに」ならないといけないと思っています。そのためには、利用者工賃も、職員賃金もしっかり向上できるように、まずは多くの方が利用したいと思えるような事業運営をして、そのベースを確保していきたいと考えています。

 手始めに、各事業所廻りをすることで現場スタッフが考えていることをしっかりと聞き取っていって、どのような事業所運営を考えているかというのを掴んでいきたいと思っています。やはり現場と経営陣が同じ方向を向いていることが最重要ですので、僕は「現場と経営陣とのパイプ役」を担えれば…との思いです(笑)。

◎なぜ福祉の世界へ?


土 井 話は変わりますが、我々って二人とも全く福祉とは関係のない世界からこの業界へ入ったという共通点があります。そして、今や社会福祉法人の経営を担う立場になったわけですが、お互い、どんな歩みで今に至るかを少し話してみたいと思います。まずは平川さんから。


平 川  僕は大学までラグビーをずっとしていて、経済大学を出たんですけどラグビーで進学したような(笑)。あまり将来ビジョンを考えてたわけではなかったですね(笑)。

 卒業の時は就職難の時代で、まあCMやってるような大きな企業ならいいかな…くらいのノリでコーヒーの自販機を企業に入れる会社に営業職で就職しました。営業職って、割と個人事業主的な働き方で、自分で自分の仕事を管理するんですが、今になればこの時の経験が施設管理者として事業所運営する際に役立ったと感じています。

 その後、母方の祖父が末期がんとなったことをきっかけに退職して帰省したのですが、祖父のホスピスケアのケースワーカーさんとの出会いがこの道への入り口だったように思います。

 その後実家近くにできた専門学校に入学して精神保健福祉士の資格を取って、下関市内の精神科病院へ入職。はじめは病棟相談員でしたが、デイケアや社会復帰施設スタッフのような「一緒にする」業務の方が自分には向いているな…と感じるようになって、部署異動をさせてもらいました。

 土井さんとは、社会復帰施設部門で上司として出会ったわけですが、その後土井さんが先にこの法人に移られて、時を経てこの法人に誘っていただいて(笑)、今に至ります。

土 井 前の職場も一緒だったことが皆さんに分かってしまいましたが(笑)、実は専門学校も同じです(笑)。年次は違いますがね。ラグビーをしていたのも共通してますね(笑)。

 さて私は、元々社会問題に中学・高校時代から興味があって、大学受験は社会学部中心で受験して複数合格したのですが、その中で一つだけ受験して同時に合格した商学部に、親の想いへの配慮もあり(笑)入学しました。

 卒業時は都市銀行へ就職予定だったのですが、留年してしまい(笑)、結局元の方向性に戻ったように新聞記者となりました。

 新聞記者時代に大きかったのは、育った神戸を襲った阪神淡路大震災の取材や岡山のハンセン病療養所の取材です。これらの経験を経て、そういう問題をただ記事にするだけという事に疑問を抱くようになり…。

 それならば、その後すんなりこの業界へ舵を切ったかというとそうではなく、4年で新聞社を辞めて次に選んだのは森林作業員。なんかモラトリアムな時代だったんでしょうね(苦笑)。

 でもそこで出会った人が精神保健福祉士を目指していることを聞き、自分の周囲にも少しそういう関係があったことや、新聞記者時代の色々な事を思い出して、この業界に30歳で進みました。

 この法人に入職したのは、私の前任の総合施設長からその当時はNPOだったんですが、「社会福祉法人にしたいから手伝って」との声掛けをいただき、40歳となるのをきっかけに決断したという感じですね。

◎はまゆうの魅力って?


土 井 お互いに紆余曲折を経てここに至る訳ですが(笑)、改めて働いてきてみてピースオブマインド・はまゆうの魅力ってどういう所だと思いますか?


平 川  僕が思うに、はまゆうに入職してなかったら、僕自身はずっと福祉の仕組みというのを知らないままで漫然と仕事をしていたかも…ということなんです。大きな組織だと、与えられた現場を回すだけで終わっていたかも…ですが、この規模の組織だと自分が主役になって、自分で組み立てないといけないし、それが面白さに繋がると感じています。

 改めてですが、自分が総合施設長となったので、自分が経験してきたこのような思いを現場にもフィードバックしていって、スタッフ皆がクリエイティブに発信していけるような組織にしていきたいと思っています。

土 井 そうですね、40人規模の法人ですから、一人一人のスタッフが個性をしっかりと出していって、生き生きと働いてもらい、サービスを利用する方も同じように生き生きと地域生活を送っていけるような支援をしていきたいですね。

 そのためにも、私は理事長としてしっかりとスタッフの皆さんが安心して働ける環境作りと組織運営、法人経営を、平川さんには総合施設長としてしっかりと現場を統括してもらうという役割分担が明確になったように思います。

平 川  あと、はまゆうの魅力って、実はまだ今から作っていく発展途上だとも思うんですよね。

 うちの法人の事業所は、4カ所に分かれていて地域毎の特徴も違うし、それぞれが各地域でまだまだ魅力を発信できていないような気もしています。

土 井 これからは地域とのつながりが特に大事になりますね。

 はまゆうは元々が精神障害者共同作業所がスタートで、その当時は精神障害というのはどちらかというと地域の中でひっそりと活動していて、あまり積極的に地域に向けた情報発信をしにくかった時代だったけど、今はむしろ積極的に地域との関わりを持つようにシフトチェンジしてきてますね。

平 川  そうなんですよ。

 地域に向けた情報発信もですが、このホームページもそうですが、今は情報発信ツールも色々とありますし、そういうことが得意な若手スタッフが法人にも複数いますので、彼らと一緒にはまゆうの魅力をしっかりと発信していきたいですね。何よりも、このアットホームな雰囲気をぜひ知ってほしい(笑)。

土 井 そちらの方面は、全面委任したいと思います(笑)。若手を率いて、是非宜しくお願いします。

 今日は、今後の法人経営について、お互いの想いを共有できました。これからも力を合わせて、頑張っていきましょう。ありがとうございました。

平 川  ありがとうございました。


(2023年7月4日 ワークステーションほっぷ作業室にて)

プロフィール

平川 龍 (ひらかわ とおる)


山口県三隅町(現長門市)出身。東京経済大学経済学部卒業後、営業職を経て2002年3月精神保健福祉士国家資格取得。精神科病院での相談員、社会復帰施設での勤務を経て、2010年11月からNPO法人ピースオブマインド・はまゆう(当法人の前身)に入職。サービス管理責任者、施設管理者、法人副総合施設長を経て現職。

因みに高校3年時にはスタンドオフとして全国高校ラグビー大会でベスト16進出の実績の持ち主。

   土井 健一 (どい けんいち)


福岡県行橋市出身。関西学院大学商学部卒業後、新聞記者、森林作業員等を経て2001年3月精神保健福祉士国家資格取得。精神科病院での相談員、社会復帰施設での勤務を経て、2010年4月からNPO法人ピースオブマインド・はまゆう(当法人の前身)に入職。サービス管理責任者、施設管理者、法人副総合施設長、総合施設長を経て現職。

大学までしていたラグビーでのポジションはフッカー。

法人概要

社会福祉法人
ピースオブマインド・はまゆう
〒751-0833
山口県下関市武久町1丁目5-14
第3金家ビル2階
TEL:083-254-9288
FAX:083-250-1312

■事業内容
就労継続支援B型事業

指定特定相談支援事業